2月4日、「さいなら原発・びわこネットワーク」の総会ががあったが、その記念講演で、井戸弁護士が、「若狭から老朽原発をなくすために~原発全廃闘争の情勢と課題~」と題して講演された。           

 そこで井戸弁護士は能登半島地震の教訓とそれを踏まえて原発全廃をいかに勝ち取るかということと、この間の裁判での、関電のデタラメな主張を壊滅的に批判する内容を展開された。とりわけ重要だったのは、能登半島地震の教訓である。教訓は大きく2つあり、一つは地震のことはまだまだよくわかっていないので、強振動研究を活用して安全性を保証することは不可能であるということと、二つは避難計画は絵にかいた餅にすぎないということである。

 今回の地震については、まず震源地の南西方向の断層がM7.3相当で揺れ、揺れが収まる前に13秒後に北東方向の断層が同程度で揺れ、2度目の揺れで被害が拡大した。こんなことはこれまでなかった。さらに連動して、20㎞離れた富来川南岸断層が大きく揺れた(これまで連動するのは5㎞以内といわれていたにもかかわらず、また北陸電力は冨来川南岸断層は活断層ではないと言っていたにもかかわらず)。 また海岸線は86㎞にわたって隆起した。これまで原発裁判で反対派も隆起の想定での議論はしてこなかった(隆起で冷却のための海水の取入れはできなくなるにもかかわらず、また日本の海岸線には隆起の跡がたくさんあるにもかかわらず)。また短周期地震動は5Gをはるかに突き抜けていて(1Gは980ガル)原発の耐震限度をはるかに超えている。こうしたことはこれまでなかったことで想定していなかった。石川県はこれまでそもそも地震の少ない県に位置付けられていた。地震の観測データは実は阪神大震災以降の30年くらいしかなく、地震のことはまだよくわかっていない、活断層の存否、位置、規模、地震の態様、地盤の隆起、連動の範囲、地震動の強さ、性質も。強振動研究の第一人者である野津厚先生は「今後も考えてもいなかったような場所で、考えてもいなかったような規模の地震が、考えてもいなかったような起こり方で起こり、それによってパラダイムは変わっていくと考えられる」と述べておられ、「強振動研究の成果を活用して安全性を保障することは不可能である」と言っておられる。避難計画については、現実に、屋内避難はできない、道路は寸断、空路も海路もダメ、自ら被災した自治体職員は地震被害対策、津波被害対策で精いっぱいで、それ以上被ばく対策までできない。志賀原発30Km圏のモニタリングポストは15か所が欠測していて実測値が把握できなければ避難指示も安定ヨウ素剤の配布もできない。こうしたことは今回の地震で誰にも分かったことで、この認識を市民の広範な認識にするとともに、裁判官にも理解させることが必要である。

 この3月には、若狭の原発をめぐって、大阪高裁と福井地裁で老朽原発差し止めの仮処分の決定が出る予定で、何としても原発を止めないと私たちの未来はない。井戸弁護士はこの間の原発裁判の現状も踏まえ、全面展開された。